高炉スラグ混合セメント系塗料の鋼材角部防食下地材への適用に関する防食性評価

摘要

鋼構造物において，部材の自由縁となる角部は，塗膜厚の確保が困難な部位で，防食上の弱点となる可能性がある．また，鋼構造物の新設塗装では，工場塗装から現場塗装の期間があることや，組立時に生じるキズなどから，現場塗装後に腐食が進行することが少なくない．著者らは部材角部の防食性能を向上させることを目的とし，高炉スラグ混合セメント系防食塗料（以下，セメント系塗料）を防食下地材として適用するための基礎的検討を行ってきた．セメント系塗料の防食機構は，セメント由来のアルカリ条件下で亜硝酸塩が作用し，Fe~(Ⅲ)_2O_3（赤錆）のFe~(Ⅲ)の一部が還元され，Fe~(Ⅲ)_2Fe~(Ⅱ)O_4（黒錆）が鉄表面に形成されることで，不動態皮膜として機能していると考えられている．本研究では，鋼道路橋防食便覧に示されるC-5 およびF-11 の塗装系にセメント系塗料を追加して用いる．本稿では耐屈曲性試験と腐食促進試験による防食性能評価について報告する．