日本の大気中二酸化窒素濃度に影響する気象条件の探索: 解析地区の選定

摘要

我々は亜硝酸（HONO）の生体影響について動物曝露実験や疫学的試行調査の結果を報告してきた。我々の疫学的試行調査の結果（Int J of Environ Health Res. 2019 in press）では、室内HONO と室内一酸化窒素（NO）の相関性が良い調査年や室内HONO と屋外二酸化窒素（NO_2）の相関性が良い調査年があった。多くの疫学調査で示唆されている屋外NO_2 と喘息との関係に、状況によっては屋外NO_2 と相関する室内HONO が関与している場合があると我々は考えている。特に、我々のラット曝露実験の結果（Inhal Toxicol.2018 30:149-58）では、HONO 曝露で肺抵抗が有意に亢進し、HONO はNO_2 より喘息への影響が強いことを示唆した。（実験動物での喘息の影響指標に肺や気道の抵抗が用いられているが、ラットはその影響が出にくい動物種で、ラットの肺抵抗を亢進させる大気汚染物質は亜硫酸ガスしか報告されていなかった。モルモットは気道抵抗への影響が出やすい動物種で、モルモットへのNO_2 曝露では気道抵抗の亢進が報告されているが、動物曝露実験の結果ではNO_2 の喘息への影響は強くないと考えられている。）