沿岸域の選択取水問題への3次元数値モデルの適用

摘要

構造物や海底地形が複雑な場合には，選択取水への実験式の適用が困難である．本研究では，複雑な地形での混入率や，排水の再取水が拡散へ及ぼす影響について数値モデルで評価する事を目的とし，既往の水理模型実験結果との比較を通じて，沿岸域における選択取水問題への3次元数値モデルの適用性について検討した．選択取水問題の数値モデルにおいて重要な成層流体での拡散係数については，k-モデルをベースに局所リチャードソン数で補正したものと実験式を用いる2つの手法について検討した．数値モデルによる限界取水条件や混入率の計算結果は，3つの取水方式(カーテンウォール，水平取水管，取水塔)を対象とした既往の水理模型実験結果と整合しており，本手法は既存の評価式と同等程度の実用上十分な精度を有する事を示した．