酵母two-hybrid法を用いたレチノイン酸受容体に対するレチノイドの結合性の評価

摘要

レチノイン酸(RA)受容体(RAR)は、ビタミンAの代謝物であ るRA類をリガンドとする核内受容体であり、脊椎動物の細胞分 化、増殖、形態形成など、多様な機能の制御を司っている。一 方、レチノイドシグナル伝達系の過剰発現は、多様な生物種に 対して骨格形成異常などの奇形をもたらす可能性がある。北米 や中国、日本にぉいて、RARァゴニスト作用を示す化学 物質による水環境汚染が報告され、その実態が明らかにされつ つある。水環境中に存在するRARァゴニストの原因物質につ いては、一部を除いては明らかになっておらず、受容体に結合 する化学物質の特性に関する知見が乏しい。本研究では、酵 母two-hybrid法を用いて、レチノィド(RA類やその酸化代 謝物、前駆物質)のヒトおよびメダカのRARに対する結合 活性を調査することで、生物種や化学構造の違いによる結 合性の差異を把握することを目的とした。