制約付き多目的最適化問題における実行不可能解を用いた指向性交配のための交叉法の提案

摘要

実世界での最適化問題の多くは，複数の要素をトレードオフの関係性や制約条件に違反しないように，同時に最適化することを要求する．このような問題を制約付き多目的最適化問題(Constrained Multi-Objective Optimization Problem，CMOP) という．CMOP の解法として，進化型アルゴリズムを用いた多目的進化型アルゴリズムの開発の研究が活発である．本研究では，二段階の非支配ソートによる，制約違反量と目的関数値を同時に扱う解のランク付けと，有用な実行不可能解を用いる指向性交配を導入したTwo-Stage Non-dominated Sorting and Directed Mating(TNSDM) アルゴリズム[1] に注目する．TNSDMアルゴリズムにおける指向性交配の有効性を高める交叉手法Polynomial Mean-Centric Crossover(PMCX) [2] が提案されているが，PMCX は一般的なの交叉手法Simulated Binary Crossover (SBX)と比べて，関数空間と変数空間の相関が弱い問題では優位性を示せなかった．そこで本研究では，2 つの交叉法SBX，PMCX をもとに，実行不可能解を用いた指向性交配の有効性を高めるために，分散処理を用いた交叉法を提案する．