工場廃水中の難分解性有害物質1,4-ジォキサンを分解する微生物群の実体

摘要

1，4-ジォキサンは、人への発がh性が疑われ、世界的な規制強化が進む人工の有害化学物質である。近年、1,4-ジォキサンの処理方法として、低コスト•低環境負荷型の生物処理が大きな注目を集めているが、1,4-ジォキサンの生分解（エーテル結合の開裂反応）は、非常に起こりにくい。これまで1,4-ジォキサン分解菌は主に分離培養法によって調べられており、限られた数種類の分解菌の情報しか得られていなかった。またモノォキシゲナーゼ遺伝子をバイオマーカーとして、1，4-ジォキサン分解菌を検出する試みも為されているか当該機能遺伝子に非依存的な分解菌ゃ実際に環境で働いている分解菌を探し出すことは極めて困難であった。本研究では、次世代シークェンサ一解析の適用により従来法の約500倍の検出感度が得られる高感度安定同位体プローブ法(high-sensitivity staoie isotope prooing [SIP])を用いて、石油化学工業廃水の生物処理槽における1，4-ジォキサン分解菌の同定を試みた。さらに、同定された分解菌の生物処理槽での年間動態を16S rRNA遺伝子に基づく次世代シークェンサ一解析により明らかにし、1,4-ジォキサン分解菌の生態に迫った。