縦曲げ剛性および捩り剛性を考慮したコンテナ船一体型弾性模型の設計:箱型弾性模型による予備実験

摘要

コンテナ船のように大きな開口部を有する船にとって，捩りモーメントの推定は重要な課題の一つである．本研究は，水槽実験において捩り振動の相似性を考慮して捩りモーメントを計測できるような弾性模型船を製作することを目的とし，今回はシンプルな箱型の模型を製作して予備検討を行った．縦曲げについては，流力弾性を考慮した模型実験によりモーメントを計測する手法が確立されてきている1)．しかし，捩りについては，流力弾性を考慮した模型実験の試みはまだ少ない．Remy et al. (2006)は，バージの分割模型を用いた水槽実験を実施しているが，捩り剛性の特性を正しく表現できているか疑問が投げかけられている．岡ら(2010)は，オープンセクション断面のバックボーン（Cチャンネル材）を用いた分割形コンテナ船弾性模型を製作した．縦曲げおよび捩り剛性の相似性は満足されたものの，捩り振動の相似性をより正確に達成するには，曲げ捩り剛性の相似性も満足させる必要があることを明らかにしている．Iijima et al. (2009)は，FE解析により固有振動数の相似性を満足するような，一部に開口部を有するバックボーンを設計し，縦曲げ，水平曲げ，捩り振動を相似とする分割型弾性模型船を製作している．以上の捩り振動計測を試みた模型船はいずれも分割型の弾性模型である．