異なる気候帯における貯水池の化学成分の比較検討

摘要

気候変動に伴う極端な気象出現や水温上昇，土地被覆改変により，水資源供給源となる貯水池の水質変化が予測される.浄水機能をももつFeやAl等の鉱物の流出変化も生じ，相乗的に水質変化量が大きくなる可能性も考えられる.このことから，化学的アプローチより微量元素，イオン組成を用いて異なる気候区分となるベトナム北部の貯水池と東北地方の貯水池の水質，元素の比較検討を進めた.検討より得られた結果は以下の通りである.（1)ベトナム北部の貯水池は風化度(CIA)が高くないため，顕著な風化は起こっていない事が明らかになった.（2)日本の貯水池とベトナムの貯水池では，K, Ca， Mgといった加水分解により溶脱しやすい元素の存在割合が大きく異なっている事が示された.