双発横力板ＵＡＶの推力差を用いた低バンク旋回

摘要

本稿では，旋回中のエルロン操舵を抑制して低バンク旋回を容易にするために，推力差を利用した双発の横力板UAV を提案した．理論的な解析から，推力差を発生した状態でも横力板とラダーの操舵で充分大きな旋回率で旋回でき，とくに低速では旋回半径を抑えながら旋回できることが分かった．また推力差によるローリングモーメントの発生は，低速時にも効果的であることが判明した．低速時にエルロン操舵を抑制して非バンク旋回できることは，旋回内側の主翼の失速を防ぐ効果を期待でき，より容易に非バンク旋回できることにつながる．実験結果から，実際に推力差を発生した状態で旋回できることを示した．また旋回率の理論値と実験値を比較し，理論的解析の妥当性を検証することができた．そして，推力差を発生することで旋回中のエルロン操舵量を抑制できることを実験で確認できた．実験結果から，推力差発生時のモーターの反動トルクによって瞬間的に大きなローリングモーメントを発生できることが判明した．今後はモーターの反動トルクも積極的に利用することで，非バンクで急旋回できるようにすることも検討している．