高精度月着陸ミッションにおける着陸終盤フェーズに適した誘導則

摘要

近年はリモートセンシング探査により月惑星探査の対象天体の詳細が明らかになり，目的に適した特定場所への着陸による直接探査の重要性が増している．言い換えれば，過去に米国や旧ソ連を中心に実施されてきた「降りやすいところへ降りる」技術に対して「降りたいところへ降りる」技術が必要となってきている1)．将来の月惑星探査に必要となる高精度着陸技術を実証するミッションとして，小型月着陸実証機SLIM (Smart Lander for Investigating Moon)が挙げられる．SLIM は目標地点に対して100 m 精度での高精度着陸を目指しており，航法カメラにより月面を撮影し自己位置推定する画像照合技術，障害物の検知と回避を実行する技術，高精度かつ低演算負荷の誘導則技術などにより実現される1-4)．