発電機起動停止計画問題に基づく 調整力確保を考慮した系統用蓄電池の最適運用に関する検討

摘要

近年の再生可能エネルギー電源の導入拡大によって技術開発が活発化している系統用蓄電池について，調整力確保を考慮した最適運用について検討した。最適化は系統用蓄電池を発電機起動停止計画問題に組み込むことで実施し，特にLFC 容量面で揚水発電機との差別化を行った。最適化結果として，最も導入効果が高い条件では，調整力確保のみに蓄電池を利用した場合の発電コスト単価の削減率が7%程度であったのに対して，負荷平準化も同時に行わせることでこれが9%程度まで向上することを示した。また，その原因を詳細に分析し，蓄電池がLFC 容量を提供することで，火力発電機の負担が大幅に軽減される可能性があることを示した。今後の課題としては，LFC 容量を提供する場合の残量面への影響の分析，多地点に分散した蓄電池のマネジメント技術の検討，残量地域間連系線や予備力を考慮したシミュレーションなどが挙げられる。