Relationship between ERD/ERS in alpha/beta frequency band and Direction-Cue in press-button movements

摘要

本稿では運動方向を決定する合図と運動の実行の合図を分離した実験を被験者10名に対して行った.実験結果からすべての被験者に対して2つの特徴が得られた.1つ目の特徴は，Direction-Cue提示の1.2〜1.5[sec]後にERDのピークが発生するという特徴である.実験においDirection-Cueの提示により運動方向の決定を行っており，Direction-Cueの提示の直後からパワーの減少が始まっていることから，被験者が運動方向を決定したことによる影響がDirection-Cueの提示直後に現れている可能性が考えれられる.2つ目の特徴は，Direction-Cueの提示後からGo-Cue提示までの間に持続的にERDが発生するという特徴である.1つ目の特徴のERDに比べ10〜20ポイント小さいERDがGo-Cueの提示前まで持続して現れていた.この間においては被験者は運動を準備していると考えられ，運動の具体的な準備がERDの発生に関わるものと考えられる.本稿ではDirection-Cueに着目して考察を行っているが，今後はGo-Cue及び運動実行時にも着目した実験を行う.また，複数の実験を比較し，運動の意思決定に関係するERD•ERSの特徴を検討する.