静電櫛歯アクチュエータを用いた表面プラズモン可変カラーフィルタの製作

摘要

本論文では、中空のアルミサブ波長格子と静電櫛歯アクチュエータを一体化した表面プラズモン可変カラーフィルタを製作した。周期450nm、格子幅250nmのアルミサブ波長格子と、150 nmの周期拡張を与える静電櫛歯アクチュエータを設計した。表面プラズモン可変カラーフィルタを製作し、アルミサブ波長格子と静電櫛歯アクチュエータを空中にリリースした。初期状態の表面プラズモン可変カラーフィルタでは、白色光の入射時に波長選択性を示した。これは、偏光素子を使わずに、微小分光素子を実現可能であることを示唆している。また、12Vの駆動電圧の印加により、750 nmの静電櫛歯アクチュエータの横変位が得られ、アルミサブ波長格子の周期拡張に成功した。以上より、微小分光素子を実現する表面プラズモン可変カラーフィルタの動作を確認した。しかし、アルミ薄膜により、アルミサブ波長格子と静電櫛歯アクチュエータを形成したため、内部応力による反りが発生した。これにより、必要な可動範囲を得る前に電極同士が接触する不安定な動作を示している。この課題を解決するため、内部応力を減らすためのメッシュ状の静電櫛歯アクチュエータに変更を行うことを検討している。提案する表面プラズモン可変カラーフィルタの開発により、撮像素子ではイメージセンサに一体化可能な微小分光素子、表示素子では低消費電力の可変カラーフィルタへの応用が期待できる。