磁界の変異原性の評価: 静磁界から中間周波磁界まで

摘要

1970年代後半に提起された送電線と小児白血病の相関に端を発した電磁界の健康影響に関する懸念は，それ以後の携帯電話の爆発的普及やIH家電，RFIDなどの商品管理装置の普及，さらには将来的な大電力無線電力伝送技術の開発•導入など，様々な周波数や種々の形態をとりながら，30年以上たつた現在も議論が続いている。これに対し，国際保健機関(WHO)では，周波数0～300GHz迄の電磁界による健康影響についての科学的な知見の集約による健康リスク評価(国際EMFプロジェクト）を進めている。現時点(2015年2月現在）では，定常磁界（2006年）,100kHz以下の変動磁界（2007年）についての健康リスク評価が環境保健クライテリアとして刊行されており，現在は100kHz以上の高周波の評価作業が進められている。