需要家設備の雷被害と対策

摘要

高度情報社会の発展により社会の仕組みが大きく変化し，高速化，大容量化，広域化した情報通信ネットワークに支えられてきた。これらに加え，近年では図1に示すようにスマートグリッドの構築も進められてきており，ネットワークの複雑化の様相を示している。そのため落雷の影響も様相を変えることになる。電力や情報通信設備などの雷被害は，あらゆる分野においてハード的な損傷に加え，データ損失やサービスの停止による利用率低下などの信頼性の問題につながることになる。近年，再生可能エネルギー設備として風力発電設備や太陽光発電設備が拡大を遂げ，ウィンドファームやメガソーラーのように電力供給設備が面的にも拡大している。電力事業者，通信事業者，放送事業者，鉄道事業者などの公共性が高い事業者は，研究や実験を基に雷被害に対する指針や規格，施工標準などを作成し，対策の成果をあげてきている。一方で，民間企業や工場，家屋などの需要家設備に対する雷害対策に取り組hだのは最近になってからである。