魚眼画像変換を用いた全方向情景提示方法の構築

摘要

機械の操縦技術を測るシミュレータだけでなく,人の行 動や情景認知度を測るシミュレータが使われている.この ようなシミュレータでは，対象者を囲むディスプレイに， 実写映像あるいはアニメーションが表現される.ディスプ レイを大きくすると，没入感が増して認知の度合や感じ方 をより正確にキャッチできると考えられる.更に，場面に バリエーションを持たせることや仮想のカメラ設置場所を変えることによって，測定効果が上がると思われる.しか し，そのような映像の取得や生成は，表示装置のみの記事 は目にしても，仕組みは普及していない.これに対して， 小型.安価で扱い易い没入型のへッドマウントディスプレイ（HMD)装置が普及しているHMDはゴーグルタイ プであり，顔が向いた方向の映像を見ることができるため 現実感がある.7割以上の人が違和感はないというアンケ ート結果もあるようで，今後も使用者が増えると考えられ る.一方，HMDを人の行動測定や情景認知度測定に使おう とすると，幾つか懸念がある.まず認知度について，明瞭 な映像が提供されているために本人が細部まで認知できて いる場合，それが本人の認知能力を正しく測定できると言 えるかどうか，また，映像調節機能があったとして装着者 別の調節に煩わしさはないかである.次に，目線だけを大 きく変えたときの映像および映像表示範囲に不自然さがな いかである.そして最後に，装着感が本人の認知能力に影響を及ぼさないかである.