寒冷地住宅における空気熱源ヒートポンプ温水暖房の新しい試み(第1報)　暖房システムの運転状況と電力消費量

摘要

近年、寒冷地住宅の断熱性能が向上し平成25年省エネルギー基準を大きく凌ぐ物件が多く見られ、気密性能も 0.3cm~2/m~2程度以下の計測値を達成している。そうなると暖房に最も多くエネルギーを消費していた寒冷地域でも暖房方法に多様性が出てくる。熱源別で見ると燃焼系の暖房機器であれば燃焼効率を高め排気中の潜熱を回収している。一方で電気系はヒートポンプが主体となっている。ヒートポンプは地中採熱方式であればボアホールのイニシャルコストの点で不利だが効率は高い。空気採熱ではイニシャルが安く効率の向上したエアコン方式の普及が著しい。しかし、全室暖房を考えると隅々まで暖気が届き難く、気流感が生じ易い欠点を持っている。空気熱源のヒートポンプで暖房パネルや床暖対応の温水を送る方式は以前からあるが、パネルでは送水温度が低く、床暧では特に二階の暖房をどのようにすべきか等の問題が残る。