送電線吊架装置を含む鉄塔-送電線連成系振動特性に関する実機試験

摘要

強風下での電線路直角方向への高圧送電線の大きな揺動によるジャンパ線と腕金部との短絡事故対策として導入された吊架装置は，耐張碍子が支持するジャンパ線にスペーサーを介して付加した鋼管を一体化し，その重量により強風時におけるジャンパ線の揺動振幅を抑制する目的に使われる．吊架装置はその重量のため，強風下においていったh揺動を始めると腕金部や塔体個材への負荷を誘発し，吊架装置自身の挙動が隣接する他の吊架装置との連成効果などのために，単体としての振動時よりもさらに複雑化するだけでなく，その影響により腕金またはその他の鉄塔構成部材の振動を誘発することが予想される．これまでに著者らは，塔体や電線の振動との相互作用などによる構成部材への振動伝播に着目した振動試験により得られた，吊架装置などの応答加速度記録と電線変動張力記録を分析して，吊架装置の強制加振時には，吊架装置の振り子運動による電線の張力変動が腕金先端部の上下振動を誘発し，腕金の上下振動が塔体の電線路直角1 次固有振動を励起することを指摘した1)．本報告では，同一の振動試験で得られた腹材の応答加速度記録を分析して，腹材に及ぼす吊架装置の揺動の影響を検討し，強風下における吊架装置の揺動予測のための基礎情報の整理を行った．