養父市大屋町明延地区における社宅の居住の仕組み その2: 閉山後の社宅の住み継ぎ

摘要

閉山後の社宅には、取り壊された社宅、現在人が居住している社宅、鉱山遺構として保存されている社宅の三パターンがあった。減少過程については、まず閉山前から急峻な斜面で集落中心部である桜ヶ丘地区と村地区から離れた居住者の見られない地区、次に集落の中心部から離れた地区の社宅を取り壊していることが明らかになった。住み継がれている社宅は、三菱金属株式会社からの社宅の払い下げ、譲渡といった方法で残されてきた。中でも、職員社宅は建築コストが高く、高品質な住宅であった。そのため、職員社宅の払い下げは現在でも居住者がいる社宅のうち過半数を占めている。また鉱員社宅の払い下げについては、二戸一の改修や風呂等の増改築をすることで現在まで住み続けられていることが明らかになった。社宅の譲渡については閉山後、元の居住者がそのまま住み続けるという形で発生し、払い下げられた鉱員社宅と同様の増改築が見られた。