超高層建物の建屋剛性が即時沈下に与える影響の解析的検討（その１：検討概要）

摘要

超高層建物の即時沈下を予測する方法は，事例に基づく経験的予測法，弾性解に基づく予測法，有限要素法（FEM）など複雑な数値計算法を用いる予測方法がある．経験的予測法は，類似の地盤，基礎形式・工法の過去の事例1)を参考にする方法で，諸条件が一致していれば信頼性は高い．一方，条件が一致しない場合，建屋荷重が事例より大幅に超過する場合，地盤の非線形性（拘束圧およびひずみ依存性）を考慮した場合等では，その適用性については確認が必要となる．弾性解に基づく予測法2)は，3 次元FEM 解析が使用される以前，多くの例が報告されてきた．建屋構築荷重による拘束圧依存性（剛性増加）とひずみ依存性（剛性低下）が均衡することで弾性解による予測が可能となるが，常に弾性的な挙動に均衡するとは言えず，超高層建物の長大化に伴い，手法の適用性は常に検証されるべきである．数値計算法を用いる予測法例えば3)は，複雑な地盤構成，建物剛性を考慮することが出来ることから，現在最も優れた沈下予測方法と言える．しかしながら，建屋構造が複雑化する中で，数値解析モデルの作成も複雑化しており，沈下性状を予測する際，どこまで建屋剛性が寄与しているか明確ではない．