前川國男設計のプレモスの部材構成に着目した開発過程に関する考察

摘要

第二次大戦後、極度の住宅不足を背景に前川國男(1905-1986)は住宅の規格化、大量生産を目的とし組立住宅ブレモス(1945-1951)の製作に取り組hだ。ブレモスは全て木質パネル構法だが、部材構成が異なる7型71型、73型、72型の4タイプあり、各型で数種類のブランが作られていることが実測調査等を基にした過去の研究で明らかになつているものの、型については71型は基本となった7型を簡略化したもの、73型は71型を寒冷地向けとしたもの、72型も同じく71型を改良したものだが試作的に数棟作つたのみで量産に至らなかったと、概要の説明にとどまり開発過程については言及されていない。しかし前川國男はブレモスにおける言説の中で、「住宅生産を工業化するには工業化に適した住宅設計によらねば不可能である。(中略)プレモスの改良に日夜努力が続けられている。」と述べていることからも、部材の改良をみていくことは開発過程をとらえる上で重要であると考えられる。