階段蹴上、踏面、蹴込、蹴込板を対象とした心理評価実験: 階段の定量的安全評価手法確立のための基礎的研究　その4

摘要

既報(その1)に続き、蹴上寸法、踏面寸法の違い、蹴込板の有無などの条件により階段昇降時の心理評価実験を行った。総じて、階段寸法としては踏面寸法が最も影響が大きいことが確認できた。既報、本報とも蹴込板のある場合の評価が下がったが、蹴込板の制約のために足がしっかり載せられる"有効な"踏面寸法が確保できないためと考えられる。これに対しては、蹴込板を傾けて"有効踏面"を大きく確保する対策などが考えられる。いずれにせよ今回の検討は、被験者が若年者のみであり、そもそも事故が起きそうな危険な状況下での実験は不可能であるため必ずしも蹴込板が無いことによる危険性が直接に評価されたわけではない。「蹴込板がない方がよい」と一面的な解釈を下すことは控えるべきと考える。