密集市街地における既存細街路·空地を用いた連続的歩行空間形成手法の研究

摘要

住宅密集市街地では、自動車交通円滑化·防災機能向上を目的とする道路拡幅事業はごく一部でしか行われずに細街路が取り残され、防災上問題とされる。また袋小路状の細街路が空間の連綾性を遮断し、歩行者の目的地までの経路選択肢を狭めることなどから特に問題視される。密集市街地や細街路に関する研究は、幅貝4m以上の道路のみで構成される街区を単位とすることの問題点や細街路拡幅整備事業評価を行つている研究にとどまっているが、連続的な細街路空間は歩行者にとっての効率性·快適性を担保する上で重要なシステムとして認識されている。そこで袋小路街路同士を連結·共有させ新たな歩行空間を形成することにより、歩行者空間を担保しつつ防災面の問題解決が期待できる。よって本研究では、袋小路街路とその周辺環境を分析することにより歩行空間を形成させるために必要となる空間特性の違いを把握し、その違いに応じて活用可能となる歩行空間形成手法を提示することを目的とする。