生活保護被保護世帯•低所得世帯の住宅状況と居住水準: 大阪市西成区の高齢被保護世帯調査を通して

摘要

これまでのホームレス問題に関する研究から、住宅の確保においては生活保護制度の活用が広く見られること、しかしその住宅の質は低く、単身•高齢世帯が多い中、在宅ケアの条件には満たず居住の継続性が危ぶまれる状況であること、などが明らかになつてきた。一方、国では、社会保障改革に伴い、生活保護制度の見直しが進められてきたが、「最低限の生活保障」という中で、住宅水準や住宅扶助額についての議論は十分に行われていない。被保護世帯の中で単身高齢世帯が増加している現況においては、介護問題なども含めた在宅生活の実現とその維続性を見据えて、必要な水準を確保するべきである。本稿では、大阪市西成区における調査をとおして、高齢被保護世帯の居住環境について考察する。