プラズマ溶射ハイドロキシアパタイトコーティング材のせん断密着強度評価

摘要

歯周病による歯槽骨減退やう蝕の進行により天然歯を失ってしまった場合の治療法として，インプラント技術による治療がある．インプラントとは生体内に埋め込まれる人工器官の総称だが，歯科用インプラント材料としては，生体親和性と機械的特性を兼ね備えたTi-6Al-4V 合金などのチタン系合金が用いられることが多い． チタン系合金は他の金属材料と比べて高い骨適合性を有するが，それでも生体骨との固定には100 日以上の日数が必要である．そこで，歯や骨の主成分であり，優れた骨適合性を有するハイドロキシアパタイト(Ca_(10)(PO_4)_6(OH)_2,以下 HAp)をチタン系合金材料にコーティングする方法がとられている．これにより，インプラントと骨との結合期間の短縮が期待できる．HAp コーティング施工法として，コーティング形成速度が高いことや，溶射する材料に適した溶射条件に調整可能であるといった特徴を有するプラズマ溶射法を用いるのが一般的である．