植込み型心臓ペースメーカEMI 評価のための電気/光変換器を用いた干渉誘起電圧測定系: 携帯電話周波数帯電波ばく露の評価例

摘要

携帯電話に代表される各種電波利用機器が植込み型心臓ペースメーカおよび植込み型除細動器（ICD）等の植込み型医療機器に及ぼす電磁干渉影響（EMI）についての調査・研究が進められており[1]-[3]，それら調査結果に基づき影響防止のための指針[4]が運用されている．植込み型医療機器EMIの影響調査においては，市場投入されている機種の中から網羅性を考慮し選定された複数の心臓ペースメーカおよびICD（以降，ペースメーカ）の実機を用いる．ペースメーカ実機を，生体を模擬するNaCl水溶液で満たされたファントム(トルソーファントム：図1)内に配置し，ファントムと被試験機器である電波利用機器間の干渉距離および臨床的影響度合いが評価される．ペースメーカのEMIは，内部のセンシング回路の入力に心電位と類似した信号あるいは明らかに閾値レベルを超える振幅の干渉信号が誘起された場合に引き起こされるが，実機ペースメーカの内部回路に生じる干渉信号（以降，干渉誘起電圧）を外部から取得することは困難である．