フランス実証実験データに基づく許容可能な温度推定方式の評価

摘要

世界的なエネルギー消費量の増加に伴い、省エネルギーの実現は重要度を増してきている。消費エネルギー全体に占める冷暖房の割合は大きく、多くの空調制御技術が提案されている。空調制御技術では居住者の快適性を維持する必要があるため、居住者の温熱感を考慮する必要がある。温熱感を考慮したものとして、温熱指標の一種であるPMV（Predicted Mean Vote）を利用した制御技術が提案されている(1)。PMV を算出するにはいくつかの仮定を置く必要があるため、その値は居住者が実際に感じている温熱感とずれが生じ、PMV を目標値とした空調制御が居住者にとって許容可能なものにならない可能性がある。筆者らはフランスのリヨン市でのスマートコミュニティ構築実証プロジェクト(2)の中で、居住者の反応を利用して許容可能な温度を推定する方式を生存時間解析とパターン認識に基づき開発してきた(3)。本稿では、実証実験データによる本方式の評価を行った取組みを紹介する。具体的には、（１）フランスの200 軒の協力家庭で得られたデータによる評価(4)、（２）リヨン市において新設されたビル住居部のデータによる評価、を紹介する。