HDR画像符号化の技術動向

摘要

高臨場映像通信を実現する為には、空間解像度、時間解像度、色域、ダイナミックレンジ、光線の方向数に関する映像の高画質化が必要となる。空間解像度の向上により映像の高精細化が実現され、時間解像度の向上により映像の高フレームレート化が実現される。光線の到来方向密度の向上により3 次元映像表現が可能となる。色域の広域化により忠実な色再現が実現され、ダイナミックレンジの拡大より、忠実な画素値再現が実現される。一方、上述の高画質化はデータ量の増加を招く。このため、高臨場映像通信において効率的な伝送・蓄積を行うためには、高能率な圧縮を実現する符号化方式の設計が必要となる。本稿では、上述の高画質化要素におけるダイナミックレンジの拡大に焦点を当て、高ダイナミックレンジ(HDR) 画像符号化の技術動向について、JPEGおよびJCT-VC における標準化技術を中心に概説する。