空調用ダクトにおける流体音予測第1 報－風洞実験による空調ダクト部材の音響特性

摘要

建築物の空調ダクト系では，空調用ファンの他にも，分岐管・合流管などのダクト接続部，弁や整流装置，制気口など様々な部材で流体音が発生している．空調ダクト系の防音設計の際には，主音源であるファンなどのパワーレベルを基準に，実験的に求めたダクト部材の減衰量を周波数バンドごとに加減算し，対象室における音圧レベルを推定する音響パワー手法が一般的に用いられている(1)．しかし，この手法では偏流などの気流特性や気柱共鳴などの音響特性を考慮できず，さらに減衰量が不明なダクト部材については，近い性質の部材データから推定せざるを得ない．部材形状や接続位置の違いにより気流特性や音響特性が異なるため誤差も生じやすい．そのため精度よく予測できているとは言えず，竣工後に予測値と異なるケースも少なくない．