交流磁気浮上を用いた遠心血液ポンプの提案

摘要

心疾患の治療の中で，心臓の機能を人工心臓によつて補助する方法が行われている.この人工心臓は拍動型，回転型ポンプに大きく分けられ，このなかで回転型ポンプにはインペラ（羽根車）を支持するための軸受がある.従来では接触式の軸受が用いられているため[1]，接触部分による血球の破壊や，狭い隙間などで血流が澱み，血栓や溶血の原因となっていた.そのため抗凝固薬を多く投与する必要があり患者への負担が多くなる.この負担を軽減するため，これまでに磁気軸受[2〜5]を用いた遠心型人工心臓が開発されている[6,7].また磁気浮上機構は回転力を生み出すモータと似た構造であるため，その磁気回路を共有して磁気軸受と磁気モータの機能を併せ持つ，人工心臓用セルフベアリングモータの開発も多く行われている[8].その殆どの場合，直流制御形磁気浮上の原理が用いているため，回転体の変位•角度を検出するためのセンサや，コントローラが必要である.故障のリスクを考えると，センサやコントローラなどはできれば用いないことが望ましい.