水分移動に伴う塩化物イオンの浸透性に関する実験的検討

摘要

本研究は，初期飽和度を変化させたモルタル供試体に塩化ナトリウム水溶液を吸水させる試験，干満部を想定した乾湿繰り返し試験を行い，水分移動と塩化物イオン浸透の関係について実験的に検討した。吸水試験より，表面付近を除いて移流により塩化物イオンが浸透していると考えられた。乾湿繰り返し試験では，異なる乾湿繰返し条件の結果について，吸水あるいは乾燥の総和期間が等しくなる場合を比較すると，乾湿繰返しの条件に応じて飽和度分布や全塩化物イオン濃度が変化する結果となったが，吸水時の塩化物イオンの浸透は移流が支配的であると考えられる。