SC 柱-S 梁接合部の破壊性状に与える柱鉄骨降伏モードの影響に関する実験的研究(その1 試験体及び破壊性状)

摘要

近年、鉄骨鉄筋コンクリート(以下SRC)構造による建物の建設は減少傾向にある。SRC 構造は他の工法に比べ設計法が繁雑である、工程管理が難しい、高価であることや、SRC 構造に替わる高強度材料を用いた鉄筋コンクリート(RC)構造の普及等が要因となっている。しかしながら、SRC 構造はRC 構造に比べ，層崩壊の危険性が少なく、優れた耐震性能を持つ。そこで筆者らはSRC 構造から鉄筋を排除し、かぶりコンクリートの剥落防止のためワイヤーメッシュ(以下WM)筋を用いた鉄骨コンクリート(以下 SC)構造が、SRC 構造に替わる構造となる可能性を検討してきた。その結果、SC 造はSRC 造と同等の耐震性能を有することが示されたが、柱より強度を高く設計した柱梁接合部（以下接合部）に損傷を受けた試験体もあった。過年度までのキ字形試験体において、内包する柱鉄骨の降伏モードによって分類すると、鉄骨降伏モードがせん断の試験体は接合部の損傷が著しく、曲げの試験体は接合部の損傷があまり見られなかった。そこで、本研究では、内包する柱鉄骨の降伏モードの違いが接合部の破壊性状に与える影響について実験し、検討を行った。