BiFeO_3系圧電セラミックスの焼結条件の検討と物性評価

摘要

環境問題の観点から、Pb(Zr,Ti)O_3 (PZT)系セラミックスに代わる高性能な鉛フリー圧電材料の開発が急務となっている。我々は鉛フリー圧電材料において強誘電体に見られるマクロなドメイン構造とともに、ナノサイズの微細なドメイン構造を導入することで優れた圧電特性を発現できるものと考えている。これまでに、リラクサー挙動を示すBaTiO_3-Bi(Mg_(0.5)Ti_(0.5))O_3 (BT-BMT)と強誘電体であるBiFeO_3 (BF)の固溶体であるBT-BMT-BFセラミックスを固相法により作製し、その結晶構造及びドメイン構造を調査した結果、擬立方晶ペロブスカイト構造を有する 0.3BT-0.1BMT-0.6BFセラミックスで、マクロドメインとナノドメインの共存した構造が確認された。しかし、Bi揮発に伴う種々の欠陥生成によりリーク電流の増加やドメインピニング等の問題が生じたと考えられ、圧電特性はPZTに及ばない。そこで本研究では、焼結時の雰囲気をAir, N_2, O_2, Arと変化させてセラミックスを作製し、微構造や電気特性を調査した。