気柱共鳴現象発生時の管群内および最後列の管からの渦放出特性

摘要

ボイラなどの管群を有する熱交換器では，ダクト内の気流がある流速に達すると気柱共鳴現象が励起されて大騒音が発生することがある．最悪の場合にはプラントの負荷上昇が困難になるばかりか，構造物の破損を引き起こす恐れがある．本現象は，管群からの渦放出に起因していると考えらえている．これまでに共鳴発生予測法，共鳴抑止法，フィードバック現象の解明などに関して数多くの研究が行われてきた．しかし，今だ渦と共鳴音場の相互作用は未解明であり，十分な精度の予測法が確立しているとは言い難い．著者らは，Blevins，Facchinetti 等による管の振動問題に関する研究を参考に「管振動が渦放出に及ぼす影響は気柱による影響と同じである｣との推定に基づき，この相互作用現象を共鳴発生予測法に組み込むことに適したモデル化方法を提案した．これまでに，この相互作用の一つである渦放出の同期化モデルに関する定式化と実験による検証を行ってきた．しかしながら，上流側の管の後流と下流側の管とが干渉する管群内と，下流側に管の無い最後列の管では渦放出の特性が異なる可能性があるが，その詳細は今だ明らかにされていない．