磁気浮上遠心ポンプ用ワイドギャップ磁気軸受の設計と制御

摘要

ディスポーザブル式遠心血液ポンプは，血液が接触するポンプヘッド部が着脱式であり，このポンプヘッド内部にインペラが封入されている．既存構造では，インペラはピボット軸受により支持されるため，機械的耐久性および血液への摩耗粉の混入の観点から改善が必要な状況である．本論文では，ディスポーザブル式遠心血液ポンプのさらなる高耐久化と高性能化のため，回転子を非接触で支持する磁気軸受の適用を検討する．回転子は，外側から磁気軸受で支持し，内側から磁気カップリングを介してモータで駆動する．文献において，同様の磁気支持回転構造が提案されているが，回転子直径が約50mm に対してエアギャップが2mm 以下である．着脱ポンプヘッド部の十分な厚さ・機械強度を確保するためには，このギャップを広く設計する必要があるが，十分な磁気支持力を得られない恐れがある．本研究では，エアギャップが7mm のラジアル磁気軸受を設計し，ディスポーザブル式遠心血液ポンプへの適用を検討する．