燃焼振動モデルへのリセット制御の適用（火炎記述関数を用いた音響・熱結合モデルの制御）

摘要

ガスタービンやボイラなどの発電プラントでは，環境規制から，NOx 排出量を規定値以下となるように，予め燃料と空気を混合させて燃焼させる予混合希釈燃焼器を使用している．これらの発電プラントは，プラントの特性・制約条件のもとに発電出力変化を行うが，燃料量と空気量の比率や燃料温度・性状の変化により，燃焼器の圧力変動振幅が急に大きくなる燃焼振動が発生する場合がある．燃焼振動は，燃焼器を構成する気体流路系の音響的固有振動数が熱的に駆動され，燃焼器内の圧力やガス流速が周期的に変動する現象をいう．異常な燃焼振動が発生すれば，燃焼器が損傷するため，直ちに，発電出力の保持，もしくは，プラントを非常停止する必要があり，経済的・設備的な大きなダメージを受ける．この燃焼振動は，プラントパラメータが変化したときに，急激に振幅が変化する非線形現象，すなわちリミットサイクルであると言われている。本研究では，この燃焼振動が発生するメカニズムをあらわす火炎記述関数を用いた音響・熱結合の伝達関数モデルに対し，フィードバック制御として制御偏差から自律的にパルスを発生させるリセット制御を適用する．そして，このモデルに対して燃焼振動を抑制させるリセット制御の調整パラメータを求め，燃焼振動が発生するシミュレーションを実施して，当該パラメータを設定したリセット制御を適用すれば，抑制できることを示す．