多層膜結像ミラー光学系による高空間分解能なX線顕微鏡の開発

摘要

SPring-8やSACLAといった高輝度放射光施設の出現に伴い，短波長かつ高い透過能をもつX線を顕微鏡に適用することが研究されてきた．X線顕微鏡は，その短波長性ゆえに，可視光顕微鏡に比べて高い空間分解能を達成できる．且つ，その高い透過能ゆえに，電子顕微鏡では見ることのできない分厚い試料の内部や特殊雰囲気下（液中やガス中）の試料も観察可能である．そのため，結像型，走査型，レンズレスイメージング型といった様々な型のX線顕微法が開発されてきた．中でも結像型X線顕微鏡は，試料のリアルタイム観察が可能であると同時に，分光分析（X線吸収分光分析や蛍光X線分析等）を組み合わせることで，試料形状だけでなく元素分布や化学状態の変化も可視化できる顕微分光への応用も可能である．このため，高性能な結像型X線顕微鏡の開発が強く望まれている．