化学工学と環境

摘要

21世紀は水と環境の世紀と言われている。 「環境」が，これほど声高に喧伝されるようになったのはそれ程古いことではない。60年代の前半には，「公害」が日本社会の大きな問題となった。 当初は，単一の工場から排出される排水や排ガスが周辺に与える影響であり，地域住民と工場とが激しく対立する構図であった。法的整備と高度成長が持続していたこともあり，約10年間で単一工場の排水や排ガス問題がかなりの水準まで解決されていった。 続いて，地域住民への複合的な影響や自動車排ガスのようなノンポイント汚染等，より広範囲の「環境問題」として取り上げられるようになった。 90年代には，地域間題としてではなく，地球全体の気象，自然破壊，生態系等を包含した「地球環境」として認識されるようになってきている。