国有林の一般会計化

摘要

二〇一三年四月にこれまで特別会計の下にあった国有林の管理経営が一般会計の下に移行した。森林、林業政策にとつて、今般の一般会計化の第一義的な意義は、一般会計の下で国有林の一元的な管理経営体制を維持し得たことである。戦後復興ステ—ジにおいて、民有林材ゃ輸入材に期待し得ない状況で、国が直接木材を供給し、木材販売収入を使って森林の整備を行う上で、特別会計の下での一元的な管理経営は極めて有効であった。戦後人工林造成による民有林資源の充実、輸入材の増加等当時と状況が一変している。ニ兀的な管理経営によつて森林.林業のために何をするのか。日本の森林の六割は私有林であり、個人合理性に従って行動する。木材価格の低下に伴って、森林管理水準が低下しているのはそのためである。日本の森林の多面的な機能を発揮させるためには、森林の循環的利用が不可欠である。伐採—木材利用—植林—手入れのサイクルを確保することの重要性をどのように国民に理解して貰うか。どうしたら木材に対する評価を高め、支払い用意を高めることが可能か。国有林のフィールドを活用し、国民が森林に親しみ、森林に対する理解を増進する機会を積極的に提供することである。一般会計化の意義を考えるに当たって、創立当時に遡つて特別会計化の意義を考えることが有益である。