ACSのCT, MRI診断

摘要

近年，CT， MRIなどの非侵襲的心臓画像診断の 進歩は目覚ましく，冠動脈CTでは320列マルチス ライスCTに代表される検出器の多列化や心臓MRI での高速撮影技術が登場し，臨床現場にて既に応用 されている.CT， MRIを用いることで，ACSの診 断においては，冠動脈狭窄の同定と狭窄病変により 生じる心筋虚血の迅速かつ正確な診断が重要であ る.冠動脈CTは冠動脈狭窄検出において高い感 度?特異度を有し，侵襲的な冠動脈造影検査に置き 換わりつつある.冠動脈CTの陰性的中率は98% と非常に高率で，冠動脈狭窄の除外診断に有用であ る.心臓MRIは，非造影での心機能，心筋浮腫， 冠動脈MRAならびに造影検査での心筋血流，遅延 造影による心筋性状評価，心筋バィアビリティ評価 などに有用である.本稿では，冠動脈CTおよび心 臓MR1のそれぞれのモダリティの特徴を生かして， ACSをどのように診断していくのかに関して概説 する.