HIF-αを介する免疫細胞活性化制御機構

摘要

炎症，免疫応答プロセスでは免疫細胞の集積，増殖がダイナミックに生じている。細胞の酸素需給と言う視点から考えると，細胞の集積は需要の増加であり，また酸素に乏しい組織間質への細胞浸潤は酸素供給の低下を意味する。従って免疫細胞は炎症過程において種々の低酸素ストレスに暴露されていると考えられる。低酸素環境において細胞は様々な応答を示すが，特に転写レベルでは低酸素誘導型転写因子HIF-αによる制御を受けることが知られている。最近の解析から，HIF-αはT細胞，マクロファージなどを介する数多くの免疫応答プロセスにおいて重要な役割を果たしていることが明らかになってきた。本稿では免疫細胞においてHIF-αが果たしている機能につき概説する。