セレプロシド及び関連脂質高蓄積酵母の分子育種による作出

摘要

セレプロシドとは、図1のような構造をもつ糖脂質であり、皮膚老化防止効果があることから健康食品および化粧品原料に利用されている。 最近になって「天然セラミド（セレプロシド）配合～」という化粧品のCMフレーズでその名が広く知られるようになり、さらに大腸ガンやエイズ発症予防、進行抑制などの興味深い生理作用があることもわかってきた。 セレプロシドは脳白異に多量（約0．1g／g乾燥重量）に存在し、これまでの最大の供給源は牛脳であった。 しかし、BSE発生以来そこからの分離が難しく、現行では微量に含まれる植物体より抽出、精製しているため、市場価格は3％含有品1kg当たり20～30万円にも達している。 セレプロシドは真菌にも存在するので、酵母を利用すれば効率的に生産可能と考えられるが、その存在が報告されているのは病原性株ばかりで、製パンや醸造に使用されるSaccharomyces cerevisiaeにはまったく検出されていなかった。そのような中、帯広畜産大学との共同研究で酵母におけるセレプロシドの存在を広範に精査し、Saccharomyces kluyveriれよびそれに近縁のKluyveromyces lactisに含まれていることを発見した（Takakuwa et al．FEMS Yeast Res．，2，533－538，2002）。 これらの知見をもとに検討を重ね、帯広畜産大学、大西正男教授を技術コーディネーターと卜した研究コンソーシアムが結成され、生物系特定産業技術研究推進機構、平成14年度新事業創出研究開発事業（地域型）に課題名「北海道の農畜産加工副産物を原料とした糖脂質セレプロシド発酵生産技術の開発」として応募し、採択された。 本研究は当該機関が担当する分担課題である。