企業業績V字型回復の実態を探る－リストラ,海外頼みの危うい収益基盤

摘要

今，日本経済は大きな正念場を迎えようとしている。短期の循環的な視点からみると，景気回復に黄信号が点滅し始めていることである。具体的には，内需の回復が遅れるなかで，これまで景気回復をリードしてきた輸出や生産の増勢テンポが大きく鈍化するなど，すでに国内景気は踊り場局面に入ったとの見方がコンセンサスになりつつあることだ。 特に，生産面にスポットライトを当てると，景気がピークアウトしたとのサインも出始めており，景気後退懸念が強まる方向にある。 海外に目を転じても，欧米経済の回復の足取りは依然不安定なうえ，イラク情勢が緊迫化の度合いを強めるなど，先行き不透明感が一段と増している。 仮に，イラクとの開戦が始まれぼ，短期的には海外景気の下ぶれや企業·消費マインドの低下を通じて景気後退が現実化する可能性も否定できないところである。