薄鋼板の加工技術における最近の動向と川崎製鉄の研究開発体制

摘要

自動車の軽量化，衝突安全性，デザイン自由度，耐食性などの要求に応える多くの高強度鋼板，超加工性鋼板，表面処理鋼板が開発されまた現在もさらなる開発競争の渦中にある。 新しい鋼板の採用には加工技術上の課題も多く。 また材料の特徴を最大限に生かした工法や加工条件の設定が重要である。 自動車の構造や工法の面でもさまざまな工夫が試みられている。 一方自動車の開発期間の大幅な矩縮が強く望まれており，材料と加工技術の両面からの技術融合が大切である。 本報ではこのよう視点から薄鋼板の加工技術における最近の動向と課題を展望し，川崎製鉄における本技術分野における研究開発体制を紹介する。 CAD-CAEを活用した計算機シミュレーション技術の高度化と普及と残された課題，高強度鋼板の加工上の問題と解決方法，ハイドロフォーミング技術を成功させるための鍵，テーラードブランク技術の活用，安定量産成形のための評価技術などについて展望し，合わせて素材メーカと自動車会社・部品加工メーカとの密なる研究開発の必要性と，それにこたえる川崎製鉄の研究開発体制を紹介する。