食感性工学のパラダイムと食育システムへの展開

摘要

食感性工学は，「消費者起点工学および生産（Consumer-oriented Engineering and Production）」を食品分野において具体的に実現するための基礎科学と，その成果を生産·販売戦略に反映させるための応用技術を包括した横断的学問体系を有している。 このため，新しい食品産業·市場·社会システムを創生するのに有用な新しい学問であると考えられる。 我々の感性は生活のアメニティーと密接不可分の関係にあり，近い将来，消費者の感性を把握した市場創出が急速に発展すると予測されている。 食生活のアメニティーを表す尺度は食べ物に関する「おいしさ」と「嗜好」の程度であり，これを計測·評価して再現性や客観性の高い数量化された情報を得るシステムが確立されれば，新食品の開発ヤプロダクトマネージメント，さらにはマーケッティングの戦略に革新的な改善がもたらされるものと期待される。このようなシステムを構築するためには，食品が保有している物質的属性と食生活に関する消費者の心理学的要因を抽出して，これら相互の関連性を明らかにし，最終的には「消費者の食に対する感性」を定量化しなければならないと考えられる。