真核細胞のエネルギー、センサー「AMPキナーゼ」

摘要

AMPキナーゼは，真核生物において高度に保存されたセ リン/スレオニンキナーゼである。キナーゼ活性が同定さ れたのは1970年代初期であるが，その生物学的重要性が 認識され始めたのは最近になつてからである。細胞内のェ ネルギ一.レベルを感知して，低エネルギー環境に適応す るための種々の調節を行う。生命活動のィベン卜の多くは， 細胞レベルであっても個体レベルであつても，何らかの形 でエネルギ一代謝と関連している。そのため，AMPキナ一 ゼが担う役割も単なるエネルギー、センサーに留まるもの ではなく ，細胞の基本的活動（増殖、分化など）から疾患の 生起にまでわたる。本稿では，AMPキナーゼの分子構造お よび機能を解説する。