情報ハブとしての腐食防食協会

摘要

ヒトの記憶や認識の源に関して，苦から様々な説明が試みられてきた．これらの機能が頭蓋骨で保護された灰色の器官によることは推定できたものの，感覚器官を通して外界から脳内に投影された写像を吟味する仕組みとして，脳の中に別の認識主体（ホムンクルス）を設定したり，さらに脳の物理的実体の外部に認識主体の存在（魂）を求めて止まない立場も現代において大きな地位を維持している．近年の数十年にわたる解剖学軌生理学的な研究より，魂の座はどうやら脳の神経細胞が構成する多層ニューラルネットワーク構造の中に宿っているらしいことが分かってきたが，その意味論的，あるいは哲学的な解釈は未だ混沌としており，ともすれば「脳は自分自身を理解することが可能か」という自己言及のループに捕われてしまいそうになる．