自分の研究（合金開発）を顧みて

摘要

私は入社以来ほぼ半世紀を一貫してステンレス鋼を中心にした耐食鋼，耐熱鋼，電子材料の研究開発，特に新鋼種開発とその量産化技術開発に携わってきた．新鋼種を開発したら，量産工程の確立，市場開発まで責任があった．幸い全社あげて多くの協力者に出会うことができ，たくさんの失敗を乗り越え商品化ずることができた．研究開発に当たって，当時二つの大きを恵まれた社会環境があった．第一の環境は，入社当時ほ経済再建斯から経済成長時代（右肩上がり）に入りはじめた時代で，常に需要が供給を上回り，全国のあらゆる産業·工業界が工場新設，拡張に旺盛な設備投資を行い，色々な材料が要求されたので，研究開発テーマの掘り起こしに苦労することはなかった．シーズ研究がニーズ研究にすぐつながったケースはたくさんあった．入社当時（1961年）の我が国のステンレス鋼総生産は30ガトンであったのが，6年後には100万トンに達し，王973年には200万トンを超え世界一の生産国になり，経済大国への道を歩み続けことにをった（後にバブル経済とその破綻を経験することになるが）．その反面種々の公害が大きを社会問題として浮上し，各種公害防止装置機器用材料が要求された．