銅の孔食形態に及ぼすシリカ,塩化物,硫酸イオンの影響

摘要

淡水環境下で発生する銅の孔食は，その形態によりI型，II型，マウンドレス型などに分類される。上のように孔食形態が分かれる要因としては水質の影響が大きい。例えばII型孔食では，(HCO_3)~-/(SO_4)~(2-)比，いわゆるマットソン比が1未満の水で発生するといわれる。また，マウンドレス型孔食発生には水中のシリカが必須と考えられている。このように銅の孔食発生には水中のイオンや溶解成分が重要な役割を果たすことが知られているが，これらイオンや溶解成分が銅の孔食形態に及ぼす影響について詳細かつ体系的に調べた研究は少ない。過去に著者らは，SiO_2，Cl~-，(SO_4)~(2-)，(HCO_3)~-を含む人工淡水中での銅管浸漬試験を行い，マウンドレス型孔食を研究室内で再現した。この際，シリカやアニオン濃度の違いで孔食形態が変わる結果を得た。今回はSiO_2，Cl~-，(SO_4)~(2-)に着目し，これら三者を含む人工淡水中での長期浸漬試験を行い，銅の孔食形態に及ぼすシリカ，塩化物，硫酸イオンの影響を調べた。