高圧水素ガス環境におけるステンレス鋼·低合金鋼の水素脆性評価

摘要

燃料電池自動車や水素スタンドに使用される機器など、高圧水素ガス中で使用される材料には水素ガスによる脆化（水素環境脆化，HEE）に対する耐久性評価が必要となる。2003年度から開始されたNEDO「水素安全利用等基盤技術開発プロジェクト」では世界でも希少な98MPaまでの高圧水素ガス中の機械試験機が導入され、継承の「水素社会構築共通基盤整備事業」では広範な材料の評価が進められている。高圧水素ガス中の低ひずみ速度引張試験（SSRT）は材料の機械的特性に及ぼす水素の影響を簡便に評価でき、各種材料の水素脆化感受性をスクリーニングする手法として有用である。また容器や配管に関しては、機器の安全性を保証するために圧力変動による疲労特性を評価する必要があり、管状試験片を用いて高圧水素ガスにより変動応力を負荷する疲労試験が有用である。本稿では高圧水素ガス中SSRTおよび管状試験片を用いた外圧疲労試験により、各種ステンレス鋼ならびに比較鋼として低合金鋼の水素脆化特性·疲労特性を評価した結果を紹介する。